ECHO 101号 Kids&Teens
中学・高校生の方、または小学生以下のお子さんの保護者の方へ
血友病と運動のハテナ ~君はどこまで知ってる?~
安心してスポーツを続けるためのポイントを考えてみよう
運動やスポーツは大切。でも、スポーツの選び方や運動するときの注意点もしっかり知っておくことが必要です。
安心して運動を続けるために、血友病のみんなのあんなギモンやこんなハテナにお答えします!
運動の時に守ってほしい3つの約束
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①
運動する前に凝固因子製剤(血液を固めるお薬)を注射し、しっかり準備しましょう。
安全にスポーツを楽しむためには、凝固因子のレベルを高く保つことが大切です。 -
●
『定期補充療法』をしている人は決まった日に注射をしますが、スポーツをする日が注射する日なら、いつも通り朝に注射をしてから運動しましょう。
注射の日ではない場合は、運動の強度を考えて、その日に注射するかどうかを前もって医師に相談しましょう。 - ● 『定期補充療法』をしていない人はスポーツの前に、医師の指示に従って注射しましょう。
-
②
ケガや出血をしたら、すぐに運動を中止して応急処置を
スポーツ中にケガや打撲で出血の心配があれば、すぐに運動をやめて応急処置をします。 - ● 頭を強くぶつけた場合は、痛みがなくても凝固因子製剤を注射し、病院に連絡しましょう。
- ● 出血時の応急処置の方法はこちらを参照してください。
-
③
運動後も、筋肉や関節に痛みや違和感があったら保護者に相談しましょう
血友病では、筋肉や関節など、目に見えない出血が起こりやすいので注意しましょう。 - ● 出血をそのままにすると、血の塊ができて強い痛みや運動障害につながることがあります。
- ● 手足・肩の筋肉や関節に、痛みや腫れ、ムズムズする感じ、熱っぽさ、ほてりを感じる場合は保護者に相談し、応急処置をしましょう。
さあ、一緒に考えよう
1. 運動・スポーツの選び方
2. 運動・スポーツをするときの注意点
1. 運動・スポーツの選び方
部活はどう選んだらいいの?
運動部に入りたいけど、どんな部活なら参加できるの?
友達と同じ部活に入ってもいいのかな?
体を動かせる活動があるなら文化部のほうが安心?
運動部を希望する場合はスポーツごとのケガのリスクを考えて選びましょう。空手・柔道・ボクシング・レスリングなどの格闘技や、ラグビーのような体の激しい接触があるスポーツは避けたほうがよいでしょう。
運動部を希望する場合は、スポーツごとのケガのリスクを考えて選びましょう。
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①
比較的安全なスポーツ
水泳はケガをしにくいおすすめの運動です。また、一般的な部活動であるサッカー、野球、バスケットボール、陸上競技、テニス、バレーボール、剣道、ダンスなども選択できます。ただし、ポジションや練習量によってリスクが異なるため注意が必要です。 -
②
避けたほうがよいスポーツ
空手・柔道・ボクシング・レスリングなどの格闘技や、ラグビーのように激しく体がぶつかるスポーツは、出血のリスクが高いため避けたほうがよいでしょう。 -
③
文化部について
基本的にどの部活も問題なく参加できます。ただし、一部の楽器演奏では、長時間の練習でひじや手首に負担がかかることもあります。
ケガをしやすい部位や出血のリスクには個人差があります。まずは希望する部活の活動内容を確認し、ポジションや練習内容について医師や部活の先生に相談しましょう。安全に、楽しみながら長く続けられる部活を選ぶことが大切です。
スポーツの種目ごとのケガのリスクについて、詳しくは「どんな部活がよいか悩んでいるとき 」をご参照ください。
激しいスポーツもしていいの?
激しい運動は避けたほうがいいと言われたけど、どこまでならOKなの?
コンタクトスポーツって、全部ダメなの?
たくさん挑戦して成長してほしいから、選択肢を広げてあげたいけど……
基本的にどのスポーツでも挑戦はできますが、体がぶつかるスポーツや格闘技、関節に負担があるスポーツは注意が必要です。保護者や医師とよく相談して決めましょう。
一般的な「激しいスポーツ」には以下の特徴があります。
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①
強度が高い(息が上がる・運動量が多い)スポーツ
例:マラソン・長距離走(息が上がる、運動量が多い)、サッカー・バスケットボール(走る・跳ぶ・接触プレーがある)、テニス・バドミントン(短時間で激しく動く) -
②
高い負荷がかかる(ジャンプ・ダッシュが多い)スポーツ
例:陸上競技(短距離走・ハードル・走り幅跳び・走り高跳び)、バレーボール・バスケットボール(ジャンプ・着地、急な方向転換が多い) -
③
接触プレーが多い(転倒・打撲のリスクが高い)スポーツ
例:ラグビー・アメリカンフットボール(タックル、激しいコンタクトがある)、アイスホッケー(スティックの衝撃)、柔道・空手・ボクシングなどの格闘技(直接打撃・投げ技がある)
血友病でもすべてのスポーツが禁止されているわけではありません。ただし、特に③の接触プレーが多いスポーツは、ケガや出血のリスクが高いため注意が必要です。適切な準備や装備を整え、安全に楽しめる方法を考えましょう。やってみたいスポーツやポジションについては、医師や部活の先生と相談しながら決めることが大切です。
スポーツの種目ごとのケガのリスクについて、詳しくは「どんな部活がよいか悩んでいるとき」をご参照ください。
先生に何を相談すればいいの?
入りたい部活があるけど練習日も多いし、続けられるか不安……
必要以上に練習をセーブされたり、レギュラーから外されたりするのは嫌だ。
血友病への配慮は必要だけど、他の部員と区別されたくない。どこまで先生に伝えるべき?
部活に入る前に、練習日や試合の回数、スケジュールを先生に確認しましょう。また、先生に血友病のことを伝え、安全に部活を続けるためにどんな準備が必要か相談しましょう。
入部する前に、練習日、試合の頻度、曜日や場所などを部活の先生に確認することが大切です。
血友病のことを伝えずに部活動に参加するのはリスクが高いため、部活の先生には以下のポイントを事前に伝えておきましょう。
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①
血友病の症状と基本的な知識
(詳細は「血友病とは」をご参照ください。) -
②
応急処置の方法
(詳細は本ページの以下の項目をご参照ください。)
-
③
できる運動と制限したほうがよい運動
(詳細は「学校生活における注意点」をご参照ください。) -
④
緊急時の連絡方法とかかりつけの医療機関
具体的な説明が難しい場合は、 医師や看護師などの医療関係者に話してもらうこともできます。病院で相談してみましょう。製薬会社が作成している学校関係者向けのパンフレットを渡し、読んでもらうのもよい方法です。
2. 運動・スポーツをするときの注意点
定期補充療法で工夫できることはある?
スポーツを始めてもこれまでと同じ注射回数でいいのかな?
夏休みは毎日部活があるんだけど、どのタイミングで注射すべき?
注射さえきちんとしていれば安心してスポーツできるの?
スポーツを始める前に、定期補充療法について医師に相談しましょう。医師から指示された「薬の量」と「注射の間隔」を守りながら、適切なタイミングで注射をすることが大切です。
出血したら、自分で気づけるのかな?
今まで出血したことないんだけど、どんな感じなの?
ちょっと変な感じがあっても、痛くなければ大丈夫だよね?
これまでケガをした経験がないから、ちゃんと処置できるか心配……
血友病では、目に見えない場所で出血が起こることがよくあります。関節や筋肉に痛みがないか、ムズムズ・ちくちくする感じがないか、熱っぽさや動きにくさがないか注意しましょう。
小さいころから定期的に凝固因子製剤を注射していて、これまでに出血したことがないという人もいるかもしれません。 切り傷やあざのように目に見える場所は分かりやすいですが、スポーツをすると、関節内や筋肉内など目に見えない場所で出血が起こることがあります。
以下のサインを見逃さないように注意しましょう。
-
●
関節内出血のサイン
出血している関節は、次のような症状があります。
- 関節がいつもと違う感じがする(ムズムズ・ぴりぴりする)、または痛い
- 関節部分の皮膚が熱っぽい、腫れている
- 関節の動きが悪くなった
-
●
筋肉内出血のサイン
出血している筋肉の部位で、次のような症状があります。
- 筋肉の腫れや痛みがある、押すと痛い
- 筋肉を動かしにくい、動かすと疼痛がある
- 違和感や不快感がある
目に見えない場所での出血については、「もっと運動・活動したい方 [第2回] 万が一の出血が心配、出血ってどんな感じだっけ?」をご参照ください。
出血したら、どうすればいいの?
出血したらとにかく動かさないほうがいいんだよね?
出血が止まったらもう動いていいのかな?
連絡をもらっても、すぐには学校に駆けつけられないから心配。本人でも処置できる?
出血したら、まずは「R・I・C・E」の方法で応急処置をしましょう。
血が止まらないとき、目に見えない場所での出血が疑われるときは、凝固因子製剤の注射が必要です。迷ったら、すぐに保護者や病院に連絡しましょう。
出血したら「R・I・C・E」の方法で処置をしてください。小さな傷なら、時間はかかっても押さえていれば血が止まります。大きな傷のときは応急処置を行い、できるだけ早く病院に行きましょう。
- ● 「R・I・C・E」
Rest(安静):注射した凝固因子製剤は、破れて出血した血管の穴をふさいで出血を止める働きをしています。破れた血管部位にできた蓋がはがれて再び出血しないように、出血直後は出血部位を動かさず安静にしましょう。
Icing(冷却):出血部位を冷やすと血管が収縮し、早く出血が止まります。保冷剤や氷をタオルで包んで優しく当てましょう。
Compression(圧迫):切り傷など目に見えるケガの場合は、流水で傷口を洗い、清潔なガーゼで押さえて血を止めます。
Elevation(挙上):出血した場所を心臓より高いところに上げると、血が止まりやすくなり、むくみの軽減にもつながります。痛みがあるときは、無理せず楽な姿勢をとりましょう。