医療福祉制度

はじめに

生まれつき出血が止まりにくい体質をもつ血友病の患者さんは、かつては成人期まで生き延びることが困難でした。しかし、止血治療薬である血液凝固因子製剤の進歩は目覚ましく、現在、患者さんの寿命は健康人の寿命とほぼ変わらなくなっています。それだけでなく、定期的に血液凝固因子製剤を輸注することで出血を予防し、スポーツを含む様々な社会活動へ参加できるようになりました。また、血友病の患者さんにとって厄介な問題である関節症についても発症を予防あるいは進行を抑制することができるようになりましたが、そのためには血液凝固因子製剤を適切に輸注する必要があります。
血液凝固因子製剤は高価なため、我が国では様々な医療費助成制度が整備されています。ただ、その仕組みや手続きの方法がわかりにくいという声が多くの患者さんとそのご家族から寄せられます。実は、医師や看護師は血友病の病気のことについては勉強しているものの、医療費助成制度のことはほとんど知りません。そこで、医事課のような事務職の方に相談していただくことになるのですが、血友病の患者さんが沢山受診している病院以外は事務担当者も手続きについてよく知らないことが多いのです。さらに困ったことに届け出を受け付ける行政窓口の担当者も詳しく知らないことがあります。
そこで、2000年に産業医科大学病院ソーシャルワーカーの野田雅美さんにお願いして、血友病およびその類縁疾患の医療費助成制度について、血友病患者さんのためのガイドブックを作成していただきました。その後、制度の変更とともに改訂を重ねてきましたが、この度、最新の医療福祉制度の情報をもとに改訂第 7 版を発行することにいたしました。これまでの版でも申し上げましたが、医療費助成制度は、それぞれの自治体の間で少し異なることがありますのでご注意下さい。
最後に私たちからのお願いです。血液凝固因子製剤は大変高価です。少子高齢化、大規模自然災害の多発、新型コロナウイルス感染症の流行などで日本の財政事情が悪化するなか、血液凝固因子製剤の不適切な保存や使用による無駄をなくすよう十分ご配慮下さい。
 

  • 監修: 産業医科大学 名誉教授 白幡 聡 先生
    産業医科大学病院血友病センター ナースコーディネーター 柏原 やすみ 先生
  • 著 : 産業医科大学病院 ソーシャルワーカー 野田 雅美 先生
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