福祉サービス・介護保険
- 監修: 産業医科大学 名誉教授 白幡 聡 先生
産業医科大学病院血友病センター ナースコーディネーター 柏原 やすみ 先生 - 著 : 産業医科大学病院 ソーシャルワーカー 野田 雅美 先生
介護保険
65歳以上で支援や介護が必要な状態であれば介護保険を利用することができます。介護保険で受けられるサービスには、訪問介護や訪問看護など自宅で受けられるサービス、通所介護など施設に通って受けられるサービス、施設に入所して受けられるサービスなどがあります。また、要支援に認定された人は、介護予防サービスや地域密着型介護予防サービス、介護予防・生活支援サービス事業などを利用することができます。ここでは、血友病の患者さんも利用されている訪問介護、訪問看護についてご紹介します。本ページのQ&Aもご参照下さい。
表 介護保険のサービスについて
対象者 | 65歳以上で要支援、要介護状態となった人※ |
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認定区分 | 要支援1・2、要介護1~5 |
窓 口 | 市区町村の担当窓口 |
申 請 | 本人または家族が行う 地域包括支援センターなどに申請の代行を依頼することもできる |
- ※ 40~64歳でもがん(末期)、関節リウマチ、両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症など国が定めた16種類の特定疾病により要支援、要介護状態となった場合はサービスを受けることができます。
- 訪問介護(ホームヘルプ): 訪問介護員(ヘルパー)が自宅を訪問し、入浴や排泄、食事などの身体介護、調理や洗濯などの家事(生活援助)、生活に関する相談などを行います。
- 訪問看護: 自宅で療養生活が送れるよう、看護師が医師の指示のもとで、健康チェック、療養上の世話などを行います。血友病患者さんの場合、血液製剤の輸注など看護師が訪問して行うことができます。
- 対象者 要支援1以上の人。
- 窓口 市区町村の介護保険の窓口、地域包括支援センター。
- その他 利用者や家族が申請後、本人への聞き取り調査をもとにした一次判定、一次判定の結果や主治医の意見書をもとにした二次判定で要介護区分が認定されます。その後、ケアマネジャーによってケアプランが作成されサービス利用が開始されます。
〈先天性血液凝固因子障害等治療研究事業と介護保険〉
先天性血液凝固因子障害等治療研究事業の対象患者さんが、介護保険から医療サービス(訪問看護、訪問リハビリなど)の給付を受けた場合の自己負担分は先天性血液凝固因子障害等治療研究事業から助成されます。
Q&A
私も妻も70代です。これまでは医療機関で製剤の注射を受けたり、自己注射をしたりしていましたが、年をとって頻回の通院や自己注射が難しくなっています。これから先、そのようなケアを訪問看護ステーションなどに依頼することはできるのでしょうか? 費用のことも含めて教えて下さい。
障害や疾病を持つ高齢者の在宅生活を支援する社会資源として介護保険があります。
65歳以上の方が訪問看護を利用する場合は、国が指定するいくつかの疾病を除いて介護保険が優先されます。介護保険については市区町村の介護保険の窓口でご相談下さい。費用については、介護保険のサービスは1〜3割負担ですが「先天性血液凝固因子障害等治療研究事業」で助成できるサービス(訪問看護、訪問リハビリなど)もあります。詳しくはケアマネジャーにおたずね下さい。
なお、65歳未満の方は医療保険で訪問看護が利用できます。費用は先天性血液凝固因子障害等治療研究事業の対象となります。年齢を問わず、通院や自己注射に不安を感じたら、主治医に訪問看護についてご相談下さい。