血友病の治療

インヒビター

広島大学病院 輸血部長 血友病診療センター長 藤井輝久 先生 
奈良県立医科大学附属病院 小児科 教授 野上恵嗣 先生

凝固因子の働きを妨げる「インヒビター」ができてしまうと、通常の補充療法では止血が難しくなります。

インヒビター

「インヒビター」とは

私たちのからだには、細菌やウイルスが侵入すると、それらを攻撃するための「抗体」が作られます。これは異物から身を守ろうとするからだの防御システム(免疫)です。血友病の人は、からだの中に足りない凝固因子(第Ⅷ因子と第Ⅸ因子)を補充療法で補いますが、これを異物として認識し、作用を阻害する抗体が作られてしまうことがあります。これが「インヒビター」です。

インヒビターはどんなときにできやすい?

最近の研究では、インヒビターができやすいのは、治療経験のない患者さんが、補充療法を開始して比較的間もない時期と言われています1)
特に、出血や手術などによって早い時期に集中的に凝固因子製剤を注射することが、インヒビターができるリスクになると考えられています1)

インヒビター保有患者さんの治療

止血療法として、従来の凝固因子製剤による補充療法とは異なる「中和療法」や「バイパス止血療法」などを行うほか、非凝固因子製剤にも使用できるものがあります。また、インヒビターに対する治療として「免疫寛容導入療法」も用いられます。具体的な治療法については、インヒビターができたと分かったときに主治医と相談しながら決めることになります。

  • 1)石黒精 他 編. はじめての血友病診療実践マニュアル. 株式会社診断と治療社. 2012, p30.