インヒビターについて
インヒビター
生まれつき体の中に第VIII(IX)因子を持っていない血友病患者さんにとっては、補充された第VIII(IX)因子が異物とみなされて、その凝固因子に対する抗体※が作られてしまうことがあります。この抗体の中には、せっかく補充した凝固因子の働きを妨害(中和)するものがあり、このような悪さをする抗体のことを「インヒビター」と呼んでいます。インヒビターができてしまうと、凝固因子を注射しても効かなくなることがあり、止血管理が難しくなります。

インヒビターの分類
正常血漿1mL中の第VIII(IX)因子を50%低下させるインヒビターの強さ(力価)を1ベセスダ単位(BU)/mLといいます。
一般に、1BU/mL以下の値であれば、通常の補充療法に影響しません。
インヒビターは、力価や凝固因子に対する反応の仕方によって、主に次のように分類されます。
ハイレスポンダー
インヒビターの力価が5BU/mL以上の患者さん、あるいは製剤投与後(4~7日後)にインヒビターの力価が急激に上昇する患者さん。欠乏している凝固因子の補充では、治療が困難となります。
ローレスポンダー
インヒビターの力価が5BU/mL以下で、製剤を投与してもハイレスポンダーのような力価の上昇がみられない患者さん。
<ECHO 誌上セミナー・基礎知識シリーズ 第7回インヒビターについて>
監修:産業医科大学 名誉教授 白幡 聡