学校の先生方へ
血友病の子どもたちを担当される先生方へ
血友病とは?
治療方法
血友病の治療は、不足している凝固因子を
注射薬で補う「補充療法」が基本です

補充療法で出血の予防が可能
血友病の子どもたちは、足りない凝固因子を「凝固因子製剤」と呼ばれる注射薬で補います。これを補充療法といい、出血を予防したり、止血したりしています。
補充療法には、目的や注射するタイミングにより、
の3種類があります。
どの方法がいいのか、どれくらいの薬が必要なのかは、それぞれ子どもによって異なり、主治医と相談のうえ決定されています。
定期補充療法は日本では1990年頃から普及し始め、最近では6~20歳の重症血友病患者さんの9割以上が行っているといわれています(参考:厚生労働省委託事業血液凝固異常症全国調査平成30年度報告書)。
また、最近は出血を予防するための凝固因子製剤以外の注射薬も登場しています。
定期補充療法
出血を予防するために、曜日を決めるなどして定期的に凝固因子製剤を注射する方法です。
血液中の凝固因子の濃度が最低でも1%以上であれば出血回数を大きく減らすことができるので、1%以上に保てる頻度で注射をします。最近では活動性に合わせて必要な因子濃度レベルを個別に設定していくことも推奨されています。例えば血友病Aの子どもでは、週1~3回、登校前に凝固因子製剤を注射すれば、図のように常に体内の凝固因子濃度を一定以上に保つことができます。血友病Bの子どもでは、凝固因子製剤の効果が長く続くため、週1~2回または2週に1回注射をします。
このように、定期的に注射することで、出血や、出血により障害が起こるリスクを減らすことができ、他の子どもたちと変わらない学校生活が送れます。

予備的補充療法
体育の授業や部活動がある日、運動会や遠足などの学校行事、旅行など、活動量が増えそうな日、出血の可能性が高くなりそうな日に、事前に凝固因子製剤を注射しておく方法です。注射をしておけば、血友病ではない子どもたちとほぼ同じように活動することが可能です。
高学年になれば自分で注射*できるようになりますから、放課後のクラブ活動にタイミングを合わせて保健室などで注射したり、修学旅行先で注射したりすることができます。
*詳細については「家庭療法について」をご覧ください。

出血時補充療法
ケガなどで出血したときに、凝固因子製剤を注射する方法です。凝固因子製剤の量は出血の状態により異なりますが、関節内出血や筋肉内出血のように、出血が長引くと痛みや障害が残るリスクが高い場合、できるだけ早く注射をして止血する必要があります。凝固因子製剤は注射直後から止血効果がみられますので、学校で応急処置として出血時補充療法をする際は、1回の注射で十分でしょう。
