節目のケアシリーズ
《こんな時、どうしたらいい?》青年期編
恋人への病気の告白
28歳の血友病者です。今、付き合っている女性との結婚を考えています。血友病のことをまだ話していません。これまで、付き合ったガールフレンドには病気のことは言わずにきました。足関節が少し悪いことは話していますがそこから先が言えずにいます。
1. 打ち明けるべきか否か
大切な人に不本意ながら隠し事をすることはとても辛いことです。血友病のことを相手に打ち明けることについては、血友病性関節症の進行の程度や感染症の有無などを含めて個々に状況が違うので、こうしなければならないという決まりはないでしょうが、結婚を考えている相手であれば自分のことをわかってもらい血友病のことも含めて受け入れてもらうほうがこれから先の人生はずいぶん楽になることでしょう。 これから話すことはあくまでも1つの意見として参考にして頂きたいのですが、自分のことを打ち明けるには、相手との歴史がどれくらいかということ、それは単純に時間の長さだけでなく、どれだけお互いが深くわかりあっているかということだと思います。これまで付き合ってきたガールフレンドに病気のことを話さなかったのはそうしなければならない絶対的な理由はなく、言わずにいても良かった関係だったからでしょう。今回は結婚を考えるほどの相手であるからこそ、悩んでおられるのだと思います。相手の人があなたの足の障害を知っているのならそのことをきっかけに話してみるのはどうでしょうか?これまで話さなかった間の自分の思いも素直に打ち明けてみてはどうでしょうか?案外、「大変だったんだね」と、あっさり受け入れてくれるかもしれません。逆に、「どうして言ってくれなかったの」となじられるかもしれません。彼女がショックを受けてしばらく気持ちを整理するための時間が必要になれば、時間をかけてあげてもよいのではないですか?血友病を受け入れることはあなたやあなたの親御さんたちも程度の差こそあれ時間が必要だったと思うのです。彼女にもその時間が必要でしょう。できる範囲で努力をしても自分の病気のことや思いを打ち明けたことで二人の関係が悪くなってしまうような相手なら長い人生をともに過ごすことはもともと困難かもしれませんし、あなたが血友病のことで相手に気を使いながら窮屈な人生を送ることは幸せなことではないように思うのです。
2. 打ち明ける決心をしたら
相手に血友病のことを打ち明ける場合、どんな病気であるかということ、どうやって治療しているかということをわかりやすく説明してあげるとよいでしょう。例えば、血が止まりにくい体質であるとか、出血はどんなところに起こりやすいとか、出血すると痛みがあるとか、そのため注射をしていることなどです。結婚相手に血友病のことを話すと、「生まれる子どもが血友病になる」という誤解が生じることがあります。また、彼女が血友病という病気を実際以上に大変な病気と思ってしまうことがあります。生まれてくる子どもが血友病になる心配はないこと、今は凝固因子製剤を上手に使うと健常人とほぼ同様の生活を送れることなど、自分でうまく説明できない場合は主治医やナース、カウンセラーなどに相談して一緒に説明してもらうことも考えてみて下さい。