節目のケアシリーズ

《こんな時、どうしたらいい?》青年期編

無職になった時の経済的サポート

Q

46歳の血友病患者で、右ひざと右足首に関節症があります。これまで事務系の仕事を続けてきましたが、このたび解雇され、これからの生活についてとても不安です。何か利用できる制度はありますか?現在、血友病性関節症による障害で身体障害者手帳(肢体不自由)3級を持っています。

A

解雇されると生活上様々な支障が出てきます。給与収入はなくなり、健康保険も変わります。この不況で新しい仕事を探すことは容易ではありません。本当に途方に暮れてしまいますが、現在利用できる制度をご紹介しますので参考にしてください。

 

1. 生活費の心配

血友病の患者さんが利用できる所得保障の制度としては「障害基礎年金」があります。これは国の定めたいくつかの基準に該当しないと利用できませんが、血友病による障害について年金が支給されるというものです。障害基礎年金の申請窓口は住所地の市区町村役場の国民年金の係です。ここで申請に必要な書類を受け取ります。この中には主治医が記入する「診断書」と本人が記入する「申立書」があります。

 

診断書は「血友病について」と「関節の障害について」の2種類が必要です。障害年金の申請には「障害認定日」が重要です。障害認定日の状態が障害年金に定められた等級に該当するかを審査します。障害認定日からかなり経って申請する場合は障害認定日の診断書と現在の状態の診断書が必要になります。血友病の患者さんは20歳の誕生日を障害認定日として手続きします。子どもの頃から同じ病院で治療を受けていれば診断書の記入はスムーズですが、病院を変更している場合は障害認定日の診断書を記入できないこともあります。障害年金の手続きは複雑なので、市区町村役場の担当者や病院のソーシャルワーカーに相談してください。なお、身体障害者手帳と障害年金は全く別の制度です。手帳を持っているから自動的に年金がもらえるということはありません。それぞれに必要な手続きがありますのでご注意ください。

 

2. 医療費の心配

これまで加入していた健康保険は退職すると受給資格を失います。今後も安心して病院にかかるためには健康保険の手続きを速やかに行ないましょう。方法としては(1)健康保険の任意継続の手続きをする、(2)国民健康保険に加入する、(3)家族の健康保険の扶養に入る、があります。それぞれに加入の条件や手続きの期間が決まっているので、退職前に今後の健康保険について会社の担当者とよく相談し、スムーズに手続きできるようにしておきましょう。現在お持ちの特定疾病療養受療証は健康保険に附随する制度なので、保険を変更する時には併せて手続きをする必要があります。先天性血液凝固因子障害等医療受給者証も住所地の保健所で健康保険の変更手続きを行います。そして必ず、受診先の病院にも速やかに健康保険が変わったことを報告してください。