節目のケアシリーズ
《こんな時、どうしたらいい?》学童期編
定期受診の重要性
子どもは小学3年生です。親が家庭輸注を始めるようになり、出血が減ったので本人が通院することが少なくなりました。時々、親が製剤を取りに行くだけになりましたが、同じ病気のお子さん方もそうなのでしょうか?長い間、お医者さんに診てもらわないと少し心配になったりもします。
家庭輸注が順調に進み、止血管理がうまくゆくようになると、患者さんが出血のために病院へ行く機会はそれ以前に比べ大幅に減ります。逆に、学校や社会での生活は充実してゆき、進行した血友病性関節症がない患者さんは健康な子どもと同じような生活を送ることも可能になります。このことが家庭輸注の目的のひとつであり、ご相談の方も、そういう意味では家庭輸注をうまく活用されているので大変良いことだと思います。ただ、家庭輸注ができるということが、血友病の治療の全てを任されたということではありません。
患者さん本人やご家族が、指導された通りに輸注ができているかをみてもらったり、どんな経過をたどっているかを定期的に医師やその他、お子さんをとりまく医療関係者にチェックしてもらう必要があります。医師の診察や検査を定期的に受けて、血友病がうまくコントロールされているのかや、その他の健康状態を評価し、見守ってゆくことが大切です。例えば検査でいうと、血液検査で貧血の有無や肝機能、腎機能の状態など、血友病以外のことで問題が起こっていないかがある程度わかります。輸注した凝固因子が何時間後にどの程度残っているかを調べてもらうことで、輸注量が適切かどうかの判断もできますし、製剤の効き目をなくしてしまうインヒビターの有無を調べてもらうことも可能です。また、整形外科やリハビリテーション科がある医療施設ではレントゲン検査で関節の状態を調べてもらったり、関節の動きや筋力のチェックをしてもらったりすることも可能です。特に、学童の場合、心身の成長発達が著しい時期でもあります。体重に見合った製剤の投与量や投与間隔の評価、体育やスポーツ参加へのアドバイス、心理面の問題への対応など、ご家族だけの判断で決められないようなことを専門家の指示やアドバイスを受けながら検討してゆくようにしましょう。検査や診察のための受診については主治医に「この次、子どもはいつ頃受診すれば良いでしょうか」などと、率直にお尋ねになると良いでしょう。医師のほうから受診の勧めがあればその指示に従えば良いですし、気がかりなことがなければ冬休みや春休みなどを利用して受診する方法もあります。血友病の子どもたちはやがては輸注や通院など、治療について自分で管理してゆかなくてはなりませんが、幼い頃から定期的に受診して医師やその他のスタッフに相談しながら自分の健康管理を行ってゆく習慣を身につけておくことは、将来の彼自身の健康管理に役立つものと考えます。