節目のケアシリーズ

《こんな時、どうしたらいい?》乳幼児期編

他の父兄への病気の説明

Q

4歳の血友病の子どもですが、最近、友達の家に遊びに行ったり、親同士で子どもを預かったりすることが増えてきました。預かってもらったり、一緒に遊んだりする友達の親にも病気のことを話さなくてはならないのでしょうか。その場合、どのように話せばよいのか迷っています。

A

血友病はわが国に約5000人という患者数が少ない病気で、病状などが一般的に知られていないことや、些細なことでも血が止まりにくいという病気の特性上、血友病のことを周囲の人々に話すかどうか戸惑ったり、躊躇してしまうのも無理のないことだと思います。最近では、手足にできる皮下出血斑を病気のことを知らない周囲の人たちから幼児虐待と誤解されたこともあると聞きます。核家族化が進み、親戚以外の人にお子さんをどうしても預かってもらわなければならないことはどの家庭にも起こりうることです。

 

1.どのような場合に話す必要があるのか

血友病と医師から告げられた時、そのお子さんのご家族は大変なショックを受けるわけですが、その時、親であり夫であるお父さんが病気の説明を理解し、お子さんや家族の置かれている状況をしっかりと受け止められる強さが動揺する家族の緊張を和らげ、不安を軽減させてくれるのです。一般的に、女性は不安や動揺をそのまま表面に出すことができますが、男性は内面では同じように動揺していてもなかなか外に出せずにいることが多いと思います。

 

ご相談のケースは、お子さんの病気について周囲に話すことに積極的でなく、どちらかというと躊躇されているような印象を受けます。言いたくないことを無理に言うのは辛いことです。しかし、相手に子どもさんのことでお世話にならなくてはいけないことがあったり、助け合ったりしているのに病気について打ち明けないのも辛い場合がありますね。そのような場合、しばらくの間、親同士で話す時などに相手の育児に対する考え方などをそれとなく聞き、信頼できる相手かどうか様子を見たりして、病気のことを話すか否かを決めても良いと思います。しばらく相手を観察させてもらって、やはり話したくないと感じた時には無理に話す必要はないと思います。

 

2.説明のしかたについて

周囲の人たちに病気の説明をしなくてはならない場合、血友病という病名を告げて、その症状を細かく説明するのが本来の順序かもしれませんが、病気のことを知らない人の中には血友病に対して過度の重症感を抱き、そんな大変な病気なのかとお子さんと接することに不安を持つ方も少なくありません。病名そのものを伝えるより、「血が止まりにくい体質」とか、「血が止まるのが普通の子どもより少し時間がかかる」、「青あざができやすい体質」「関節が弱い」などと説明しても間違いではありません。親御さんが一緒に行動してお子さんに目が届く場合には、この程度でもよいでしょう。

 

友達の親御さんに預けたり、自分の目が届かないような状況になる場合は、例えば下記のようなことがらをもう少し具体的に説明をするほうがようでしょう。その際に相手に不安を与えないように上手に説明してください。また、携帯電話など的確に連絡できる方法を伝えておくと相手も安心できると思います。

 

  • 転落防止や関節出血予防のために禁止している行動
  • 歩き方がおかしい時や痛がる時など気をつけて欲しい症状
  • 転んだり、強くぶつけたりした時の対応
  • 連絡して欲しい場合の状態
2.説明のしかたについて