節目のケアシリーズ
《こんな時、どうしたらいい?》乳幼児期編
救急外来の受診の仕方
7 ヶ月の子どもが最近血友病A と診断されました。まだ製剤を使ったことがありません。夜、出血を起こしていることがわかった時、受診はどうしたらよいでしょうか?主治医は血友病の乳幼児を診るのは初めてと言われるので少し不安です。
血友病と診断されて間もないということで、不安なお気持ちでおられることと思います。これから子どもさんは身体の機能が発達するにつれて行動が活発になります。つかまり立ちやよちよち歩きが始まり、家具などで身体をぶつけたり、転んだりして出血の頻度も高くなることが予測されます。家庭注射ができるようになるまでは度々時間外(夜間)外来や救急外来にお世話にならなくてはなりませんが、診察や治療が必要な場合や、判断に困った場合は躊躇することなく受診して適切な治療を受けることが大切です。
1. まずは、主治医に相談
あらかじめ、主治医に今後のことについて相談しておきましょう。あなたにまだ伝えていないけれども主治医は、すでに時間外に患者さんが受診することを予測して施設内での体制を整えているかもしれませんので、時間外の受診の仕方についてもう一度、確認をしておくとよいでしょう。まだ体制が整っていない場合にはそのことで、主治医もさらに救急時の対応について意識されるようになると思います。
2. 医療施設のルールに従って受診
夜間(時間外)に病院に行くとなると、保護者の方は「こんなことで当直の先生にお世話になっていいのかな」、「もう少し様子を見て、翌朝、外来が開いてから行こうかな」、「でも、もっと悪くなったら心配だ」などと気後れしたり不安が強くなったり複雑な気持ちを抱かれるのではないでしょうか。
診断されて間もない頃は受診するべきかどうかの判断がつかないのは無理もない ことですから、少しでも不安な時は受診されることをお勧めします。ただ、時間外や夜間に受診する場合、その医療施設のルールに従って受診することが大切です。例えば、「受診前にあらかじめ連絡をしてから受診する」などです。医療施設によっては、当直医が病棟の業務と救急外来を兼務することもあり、他の重篤な患者さんの処置などで待たなければならないこともありますので、できるだけ前もって連絡し、症状をきちんと伝えておい た方が医療施設側も準備ができ、到着後すぐに対応しやすいでしょう。
なお、夜間受診した場合、翌日外来受診の指示があった場合は必ず守って下さい。また、夜間受診をせずに様子をみた場合も念のため昼間のうちに主治医に連絡をしてアドバイスをもらっておくとよいでしょう。
3.状況判断の目安
お子さんの病気について慣れてきたら、状況を以下の3 段階ぐらいに分けて判断できるようになり、少し楽になります。
【1】すぐに受診せず様子をみてよい場合
- 打撲などによる皮下出血、ちょっとした切り傷やすり傷など:打撲直後であればその部分を冷やすとよいでしょう。小さな切り傷やすり傷は消毒してガーゼや救急絆創膏の上から圧迫して止血を促します。基本的に皮下出血や小さな外傷は家庭で様子をみてかまいません。
- 口の中の出血、鼻出血:大人の指で押さえることができる部位であれば小さくたたんだガーゼや小綿球を当て圧迫して止血を試みます。口の中や鼻の中にはプラスミンという血液を固まり難くする酵素が多いので、一度止まりかけてまた出血する場合もあります。止血に困った場合は受診して下さい。
【2】早めに受診した方がよい場合
- 怪我による口の中の出血:つかまり立ちをする頃に机の端などで口の中を切ったりして、出血した場合は止まり難いので受診して下さい。なお、出血量が多ければ緊急に受診して下さい。
- 関節内出血:歩き始めるようになると関節内の出血が起こりやすくなります。足首や膝の出血を起こすと、歩かなかったり、立たせようとしても出血した側の足を床面につけない姿勢をとります。痛みがあるので機嫌が悪かったり、その部分を触ると痛がったり、出血が進むと腫れてきたりします。
- 筋肉内出血:幼児では少ないのですが、腕や足全体が腫れているような場合は、早めに受診されることをお勧めします。
【3】緊急に受診が必要な場合
頭蓋内出血を疑う場合(頭痛、嘔気・嘔吐、意識障害などの症状がある場合):幼児は言葉で伝えることが困難なので、頭部打撲のエピソードがあり、その後このような症状が見られる場合には医療機関に連絡してすぐに受診します。救急車を要請してもかまいません。幼児では、頭を打った覚えがなくても出血している場合がありますので、おかしいと思った時には受診して下さい。
