ECHO身近な相談室
幼稚園・保育園への疾患の説明
札幌徳洲会病院 小児科部長・副血友病センター長 金田 眞
幼稚園や保育園に入園する際、園の先生に血友病のことをどのように伝えればよいでしょうか?(3歳血友病A患者の母親)
血友病患者さんは定期補充療法の普及とともに、幼稚園などでも血友病ではないお子さんと同じように集団生活を送れるようになりました。しかし幼児は予測できない行動をとることがあるため、万が一のけがなどに備えて、園側に血友病の特徴や緊急時の対応などを説明しておくことは大切です。
園側には以下のようにポイントをしぼってお話しされることをお勧めします。
1. もともとは出血すると血が固まりにくい病気であるが、お薬(不足している凝固因子)を定期的に注射しているため血が固まるようになっていること。
2. このため、血友病ではないお子さんと同じように集団生活を送れること。
3. 小さな擦り傷などは血友病ではないお子さんとほぼ同じように止血できること。
4. ただし、次のような場合は保護者に連絡して欲しいこと。
- 関節の出血が疑われるとき(関節が腫れている、痛がっている、動かさないなど)
- 筋肉の出血が疑われるとき(筋肉が腫れている、痛がっている、動かさないなど)
- 頭を強くぶつけたとき
5. 緊急時には○○病院(電話番号、医師名など)が対応すること。
言葉だけで説明するとニュアンスがうまく伝わらないことがたびたびあります。正しく理解してもらうために、事前に保護者のほうで説明する内容をまとめた資料を作ったり、幼稚園や保育園の先生方や患者さん向けの冊子(写真)などを用意したりしてお話しされるとよいでしょう。また、園の先生に病院へ足を運んでもらえるようなら、主治医や担当看護師などから病気や緊急時の対応について説明してもらうのもよいと思います。
冊子「血友病の子どもたちを担当される先生方へ」バイエル薬品発行
冊子の内容は本ウェブサイトの「血友病の子どもたちを担当される先生方へ」でもご覧いただけます。
きちんと説明しても時には理解してもらえない園があるかもしれませんが、必ず理解して受け入れてくれる園はあります。くじけず、根気よくお話ししていきましょう。