サイトロゴ

バイエル薬品株式会社

  • 文字の大きさ
  • 小
  • 中
  • 大

血友病について

監修:医療法人財団 荻窪病院 血液科 長尾 梓

血友病とは

血友病とは、血が固まる(止血)のに必要な「凝固因子」(血を固める働きをするたん白質)が生まれつき不足しているために、止血に時間がかかる病気です。そのため、血友病の患者さんは出血しやすいわけではありませんが、一旦出血すると血が止まりにくく、出血が持続します。

止血のしくみ

一般的には血管が傷つき出血すると、まず血液中の血小板がその部分に集まって塊(血小板血栓)を形成します(一次止血)。血小板血栓は隙間があるため、不安定で十分な止血ができません。そこで、フィブリンをはじめとする凝固因子がその隙間を埋め、血栓をより安定的で強固なもの(フィブリン血栓)にすることで、完全に止血します(二次止血)。

二次止血では10種類以上の凝固因子が連鎖的に反応して止血に至りますが、血友病患者さんの場合、凝固第Ⅷ因子または第Ⅸ因子が不足しているため、より強固な血栓を作るためのフィブリンが出来るのに時間がかかり、二次止血が遅くなります。

出血

出血

一次止血

一次止血

二次止血

二次止血

血友病の原因

止血に関わる10種類以上の凝固因子には、それぞれにローマ数字を使って名前が付けられています。生まれつき遺伝子の異常があって、凝固因子のなかでも「第Ⅷ因子」の産生がうまくできないのが血友病A、「第Ⅸ因子」の産生がうまくできないのが血友病Bです。血友病患者さんは、出生男子1万人に1人の割合で出生するといわれており、そのうち約8割は血友病Aの患者さんです。

血友病と遺伝

血友病は、「X染色体連鎖劣性遺伝」という様式で親から子へ伝わり得る、遺伝性の病気です。
ヒトは23組46本の染色体を持ち、そのうちの1組である「性染色体(X,Y)」の組み合わせが、ヒトの性決定に関わっています。女性は母親・父親から1つずつX染色体を受け継いで「XX」、男性は母親のX染色体と父親のY染色体を受け継いで「XY」という組み合わせになっています。
血友病Aは第Ⅷ因子遺伝子の変異、血友病Bは第Ⅸ因子遺伝子の変異が原因で起こる病気ですが、これらの遺伝子はどちらもX染色体上にあります。

血友病患者さんが父親で血友病ではない女性が母親の場合、生まれてくる男の子は父親からはY染色体を受け継ぐため血友病になりませんが、女の子は父親のX染色体を受け継ぐため血友病保因者※となります。

血友病でない男性が父親で血友病保因者が母親の場合、生まれてくる男の子も女の子も母親のX染色体を受け継ぎますが、母親の持つ2つのX染色体のうち、変異のあるほうを受け継ぐと血友病(男の子)または血友病保因者(女の子)となります。男の子の場合も女の子の場合も、変異のある遺伝子を受け継ぐ確率は2分の1です。

血友病患者が父親の場合

血友病患者が父親の場合

血友病保因者が母親の場合

血友病保因者が母親の場合

また、家系内に血友病の患者さんがいないのに、突然、子どもが発症する(患者さんが生まれてくる)場合があります。このような、遺伝の関係が明らかでないケースは「孤発例(こはつれい)」といいます。

※血友病保因者:
大多数の血友病保因者は無症状で、異常な出血症状を経験することはないので、日常生活にほとんど支障はありません。青あざができやすかったり、鼻血が止まりにくい、過多月経などがみられることもありますが、そのために凝固因子製剤の注射が必要になることは滅多にありません。ただし、凝固因子の活性が低い場合は、手術や分娩、ケガなどの際に、凝固因子製剤が必要になることがあります。

血友病の症状や程度

皮下出血や筋肉内出血、関節内出血などがみられます。
血友病の重症度は、凝固因子の活性値(血友病Aは第Ⅷ因子活性値、血友病Bは第Ⅸ因子活性値)によって分類され、1%未満は重症型、1%以上~5%未満は中等症型、5%以上は軽症型と定義されています。このときの凝固因子の活性値とは、健常者の平均を100%として表していますが、実際には50~150%ぐらいの幅があるといわれています。

重症度 凝固因子活性値 出血の程度*
重 症 1%未満

定期補充療法**をすれば出血はほとんどなくなる
定期補充療法をしていないと月に数回出血
関節や筋肉の出血が多い

中等症 1~5% 数ヵ月に1回
軽 症 5%以上 ほとんどない

*血友病の子どもたちを担当する先生方より
**参照:定期補充療法