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バイエル薬品株式会社

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学校の先生方へ

血友病の子どもたちを担当される先生方へ

血友病とは

血が止まるのにちょっと時間がかかるんだ
出血したときは血が止まるまで
少し長めに押さえておきましょう

血友病の子どもでも、擦り傷や切り傷などはガーゼやハンカチなどで押えて、手で圧迫すれば出血は止まります。手を離すと再び出血する場合や、なかなか止まらない場合は製剤を注射する必要があります。ティッシュペーパー等は、はがす時にくっついて、再出血する危険があるので注意しましょう。また、一般的に他人の血液は素手で触らないように、指導を心掛けてください。

血友病とは

  • 止血まで数分(5分前後)かかる。
  • 圧迫止血しても止まらない場合は、製剤を注射する。

学校内で絶対に気をつけなければならないことはありますか?

絶対というのは特にありません。ただ危険性から考えて、頭部打撲による頭蓋内出血には気をつけましょう(参照:学校の先生方へ 出血症状と応急処置 目に見えない出血(2))。転倒、転落や激突後にぼんやりしているとか、頭痛や吐き気を訴えたら要注意です。保護者やかかりつけの医師に相談してください。もっとも、これは血友病でない子どもにおいても同じ危険性 があるので、特に血友病の子どもに限ったことではありません。

血友病とは

血友病とは、出血したときに血を固めるために必要な「凝固因子」が不足している病気です。そのため、いったん出血すると血が止まりにくくなってしまい、放置すると長時間、出血が続くことになります。もちろん不足している凝固因子を補充(凝固因子製剤-以下、製剤と記す-を注射)すれば出血は普通に止まります。

凝固因子の不足

血漿成分の中にある凝固因子は13番まで(12種類)あります。
その中で第8番目の因子が不足しているタイプを血友病A、第9番目が不足しているタイプを血友病Bといいます。

止血のしくみ

1.
血管が破れる(川が洪水で氾濫する)
2.
血管が収縮する
3.
血小板がすぐに壁にくっつく(ブロックを集めて並べる)

4.
血小板同士がくっついて固まる
(ブロックを積み上げる:これだけでは崩れやすくブロックの隙間もあり、水を完全に止められない)

5.
血漿の中にある凝固因子が働いてフィブリンができ、血栓となって血が完全に止まる(凝固因子はセメントの役割をする:ブロックの表面でセメントが固まり、強くて隙間もなくなり洪水をせき止める)

凝固因子の働き

凝固因子の⑧や⑨が足りないとセメントがなかなか固まらず、弱く水をせき止められない
セメントが十分に固まらないともろくて再出血しやすい

血友病の出血の程度

血友病は「血が止まるのに時間がかかる病気」で、出血しやすい病気ではありません。いったん出血してしまうと血友病ではない子どもより止血に時間がかかりますが、出血する危険性は血友病ではない子どもとそれほど変わりません。血友病ではない子どもが学校で出血することが少ないように、血友病の子どももすぐに出血するわけではありません。したがって、出血していない限り、普通どおりの生活をさせてください。
血友病の中等症や軽症では、普段の生活で出血することはほとんどありません。患者さんの中には病気を知らずに過ごしており、事故や手術で初めてわかった方もいます。実際問題として学校生活などで気をつけなければならないのは、主に重症型の血友病の子どもです。
ただし、小学校高学年から中学期や高校の始め頃、つまり体重とともに運動量が増える成長期は出血も増えることがあるので注意が必要です。

血友病の重症度

重症度凝固因子
(対正常)
出血の程度治療と予防
重 症1%以下

定期補充療法*をすれば出血はほとんどなくなる

定期補充療法をしていないと月に数回出血

関節や筋肉の出血が多い

1回の出血に対して数日の製剤投与が必要であり、従来は月平均10回くらいの補充投与を行っている子どもが多かった。最近は定期補充療法をすればほとんど出血しなくなってきた。出血回数の多い子どもには、定期補充療法によって出血を減らす。
中等症1~5%数ヵ月に1回痛めている関節などに繰り返し出血する場合には、定期補充療法を行う。
軽 症5%以上ほとんどなし抜歯、大ケガなどの時には補充投与が必要。

保護者の心配

血友病の子どもを持つ保護者の中には、自分の親戚や近所に血友病について話していない方がいらっしゃいます。お子さんが血友病患者であることを知られたくないと考えるのも理解できます。そのため、学校の先生には病気のことを十分に理解していただきたいが、クラスの生徒には話してほしくないと思う保護者もたくさんいらっしゃいます。生徒からの不用意な発言により、今までの交友関係を維持できない、特別扱いされる、生徒から家族に病名が伝わり、近所に病気が知れわたってしまわないかなど様々な不安があります。そのため、プライバシーの保護には十分注意していただきたいと思います。しかし、乱暴な行為でケガをさせないように、クラスの生徒に注意しておきたいと考えられる先生もいらっしゃるでしょう。いずれにしても、病名を告げることについては、学校と家庭がよく相談して対処していく必要があります。

インヒビターについて

血友病ではまれに、インヒビターという阻害物質が発生することがあります。体の免疫が投与した凝固因子を敵とみなして壊すため、製剤の凝固因子が効かなくなってしまいます。インヒビターを持つと、患者さんは出血がひどくなり、治療も難しくなり、特殊な治療法を必要とする場合が多くなってきます。そのため、インヒビターを持つ患者さんは運動制限が必要になってくることもあります。そのような場合には、主治医の指示した対処方法や応急手当ての方法を、保護者からよく聞いておくようにしてください。

関節出血は傷んだ関節で繰り返す

重症型血友病の患者さんでも、全ての関節が障害されるわけではありません。小児期では足首や膝の関節障害が多く、年齢とともに肘の関節障害も増えてきます。

繰り返し出血する関節を標的関節といい、通常多くても2〜3ヵ所です。高齢者になっても、一度も出血したことがない関節を持っている場合も多くあります。最初の関節出血はねんざのように大きな負荷がかかって出血します。一度切れた血管は弱くなり、繰り返し出血しやすくなります。ボクシングの選手で眼の上が切れて、古傷になると出血を繰り返しやすくなったり、皮膚をかきむしってかさぶたができたところを、再度引っ掻くと出血しやすくなったりするのと同じです。一度出血した血管は、弱くなって出血を繰り返しやすくなります。逆に、一度も出血していない血管は、弱くありません。定期補充療法の普及で、関節に一度も出血したことがない子どもが増えており、出血の心配はどんどん減ってきています。

血友病の出血は予防できる?

定期補充療法(予防治療)の普及

2000年を過ぎてから、我が国でも血友病の子どもたちに定期補充療法が普及してきました。定期補充療法とは、出血していないときに週2〜3回製剤を注射して、出血を予防する治療法です。血友病の重症度〈参照:学校の先生方へ 血友病とは 血友病の重症度〉で説明したように、血友病で不足している凝固因子が1%以上あれば出血回数が大変少なくなります。そこで、月曜日の朝、登校前に製剤を注射すれば、火曜日の夜までは血中凝固因子濃度を1%以上に保つことが可能です。そのため、血友病Aでは月、水、金の週3回(血友病Bでは製剤の効果が長く続くため月、木などの週2回)注射すれば、出血を予防したり、出血の程度を軽くすることができます。あるいは、体育の授業のある日や運動会や遠足等の行事に合わせて、当日の朝、注射すれば出血を予防することが可能になります。

現在では、2歳前後から定期補充療法を実施する場合が増えてきており、関節障害を合併する子どもが少なくなっています。

長時間効果が続く製剤の開発

現在、長時間作用型製剤の開発が進んでいます。血友病Bでは1回注射すると1〜2週間効果が持続する製剤も開発されてきています。血友病Aでも1回の注射で1週間近く効果が持続し、週2回注射すれば、出血をほとんど予防できる製剤も開発されてきています。

血友病の子どもたちにとって、注射は大変ですが、医学の進歩とともに生活の質は改善しつつあります。