患者さん・ご家族へ

1.血友病とその治療

(1)止血のしくみ

血液は血管の中を流れて、肺で空気中から取り込んだ酸素、腸から吸収した栄養分などを色々な臓器に運ぶ働きをしています。また、それらの臓器で作られた老廃物を肝臓や腎臓に運んだり、炭酸ガスを肺へ運ぶ働きをしています。このように血液が本来の仕事をするためには“流れている”ことが欠かすことのできない条件です。もし、血液が血管の中で固まってしまうと、そこから先に酸素や栄養が行かなくなり血栓症という重い病気(心筋梗塞、脳血栓症、肺梗塞など)にかかります。
一方、ぶつけたり、切ったりして血管に穴があいた時には速やかに血液が固まること(血液凝固)によってその部分に蓋をして出血をくい止めなければなりません。血液が“流れる”という性質と“固まる”という全く相反する性質をその時の状況に応じて巧みに使い分けるために、人間の体の中には何十種類もの「血液を固めないためのたん白質」と「血液を固めるためのたん白質(血液凝固因子と総称します)」があるのです。図1は血液を固める方の反応に出場するリレー走者のメンバー(血液凝固因子)です。血液凝固因子は、原則として発見された順番にローマ数字を使って、第I因子(フィブリノゲン)、第II因子(プロトロンビン)、第III因子(組織因子)、第IV因子(カルシウム)、第V因子(不安定因子)というように名前がつけられています。ひとくちに“凝固因子”といっても、このようにたくさんのメンバーが次々とバトンタッチをしていくことで、通常は過不足なく血液が固まるように調節されているのです(図2)。

図1.血液凝固因子(リレー走者)たち


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