2011年4月号Volume30Number2 目次へ

みんなでサポート-包括医療に関わる職種とその役割- 第4回理学療法士の役割

理学療法士は、患者さんのQOL向上を目的に行われる機能回復訓練を中心としたリハビリテーション(以下リハビリ)を主な業務として、包括医療の一翼を担っています。血友病の患者さんは近年、凝固因子製剤の進歩により積極的にスポーツや社会活動をすることが可能となり、血友病性関節症の進行をできる限り予防して良好な関節運動機能を維持するニーズがよりいっそう高まっています。血友病性関節症に対するリハビリの必要性については前号で竹谷先生が述べられておりますので、ここでは理学療法によるリハビリの実際を述べていきます。

まず、血友病における理学療法士のリハビリ業務(図1)ですが、はじめに患者さんの身体機能を検査・測定して評価を行い、医師や看護師など他職種と協力して患者さんのニーズやライフスタイルに合わせて個別に目標・計画を立てます。そして計画に沿って機能訓練や物理療法を行います。また、ホームエクササイズ指導や相談サポートを行っていきます。必要があれば装具やサポーター、杖や歩行器などの補助具の医学的助言や指導などを行います。その後、定期的に身体機能を再評価してリハビリの効果を確認し、新しい目標・計画を立てます。この一連の過程を繰り返すことで患者さんは一歩ずつ最終的な目標へと近づいて行くのです。

次に、関節症の進行を予防するポイントですが、関節内出血後、適度に安静・固定を行ってからリハビリを可及的早期に開始することです。安静・固定・不使用を過度に行うと、関節可動域減少・筋力低下から関節の支持機能が低下し、易出血性が亢進して関節内出血を繰り返すようになる「血友病性関節症の悪循環」に陥りますが、リハビリを適切な時期に開始することによってこの悪循環を断ち、機能低下を防ぐことが可能となるのです(図2)。また、もう一つのポイントは、整形外科を定期的に受診して関節機能の評価と予防的な内容を含めたリハビリ指導を受けておくことです。これは関節の状態や運動機能レベルを事前に分かっていると、出血後のリハビリ開始のタイミングやリハビリの目標をより適確に決めることができるからです。そして、最も重要なポイントは、継続して機能訓練を行って出血しにくい良好な関節支持機能を維持することです。これには根気強くホームエクササイズを行っていくことが必要です。「強い関節支持機能は一日にして成らず」

最後に、当院での経験からですが、これまで人工関節置換術や滑膜切除術などの関節の手術を受けられ、手術後に快適な社会生活を送れるようになった大勢の患者さんを診てきました。しかし、手術後のリハビリは決して容易なものではなく、殆どの方が良好な機能レベルに回復するまでに大変な努力をされます。できれば手術を受けなくても済むように、関節症の予防の知識と方法を習得・習慣化して、良好な関節機能を維持していきましょう。



東京大学医科学研究所附属病院 関節外科 理学療法士 久保田実先生


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