2010年3月号Volume29Number1 目次へ
みんなでサポート-包括医療に関わる職種とその役割- 血友病包括医療の重要性

産業医科大学病院では1984年に北部九州血友病センターを開設し、以来、多くの血友病の患者さんを診療してきましたが、患者さんあるいはそのご家族から様々な相談が寄せられます。
図1は2007年3月から8月までの半年間に当センターの専任看護師に寄せられた相談内容と件数です。その内容は止血管理だ
けでなく、血友病性関節症、HIV※/HCV※※感染、心理的問題、医療福祉制度、学校・職場での対応など多岐にわたっていて、血友病専門医がいくら頑張ってもこれらの相談の全てに適切に対処することはできません。そこで当センターでは専任看護師が窓口となり、看
護師が対処できることはそこで解決するとともに、難しい相談は、その内容に応じてそれぞれセンターの専門スタッフ(図2 )につなぐようにしています。
欧米諸国では、多様な問題を抱えている患者さんのニーズに応えるため各地に血友病治療センターが設置されていて、色々な職種の医療スタッフの参加のもと、包括的ケアを提供しています。例えば米国には150近くの血友病治療センターがありますが、これらの施設以外で治療を受けている患者さんの死亡率は、センターに受診している患者さんと比べて、40%高かったと報告されています※1)。

つまり、血友病の患者さんとそのご家族の生活の質(QOL)を改善するためには包括医療は大変重要であることを意味します。本連載では私たちの四半世紀の経験をもとに、血友病の患者さんとそのご家族への包括的ケアの提供に特に重要と考えられる職種(但し、血友病専門医は除く)を選び、それぞれの持ち場から、その役割についてお話し頂きます。地理的な問題もあり全ての方がセンター病院を受診できるわけではないかもしれませんが、センター病院以外の医療施設に受診の方でも、こんな困ったことが起きた時にこんなふうにサポートしてくれる職種の人がいるということを知って頂き、主治医や看護師に相談の上ご活用下さい。
※HIV:ヒト免疫不全ウイルス、※※HCV:C型肝炎ウイルス
※1)Soucieほか,Blood 96( 2 ):437-442,2000
産業医科大学名誉教授 白幡聡先生