2009年11月号Volume28Number3 目次へ
サイトー内科医院
山形県酒田市1番町9-9 0234-23-7718
内科 院長 齋藤好正先生
プロフィール
1967年弘前大学医学部業。
その後、酒田市本間病院を経て、2001年9月より開業。約40年にわたり、第一線の臨床現場であらゆる内科診療に携わる。
専門は一般内科、消化器内科。
第一線の臨床医の専門は「患者さん」
「専門?私はただ医者だというだけです。患者さんに求められたことを一生懸命やる。強いて言えば、うちを受診しておられる患者さんの病気が私の専門なのかもしれません」という齋藤先生が大学を卒業したのは、学生運動の直前。全国の医学部ではインターン闘争が活発化していた頃でした。「私達の時代には、医局へ入局もせず大学院や国家試験もボイコットした経験のある人が少なくありません。私もボイコットした一人ですが、当時、弘前大学の第一内科に属していたので医局に残っていれば消化器内科を専攻していたかもしれませんね」。
臨床医として働き始めたのが本間病院で、医師の数が少なかった当時は、院長と内科医である齋藤先生、外科医師の合計3人で1日400人程度の診療をしており、その中に2~3人の血友病患者さんが受診しているという状況でした。
困難な時期も患者さんとともに
先生にとって忘れられない血友病患者さんがいます。まだ現在のような血友病治療が確立されていない時代で、初診時は高校生でしたが、すでに関節症を合併していました。その後、非加熱凝固因子製剤によるHIV感染がわかり、開業後も引き続き主治医としてサポートをしてきました。
「開業後、HIV感染症が騒がれるようになり、山形大学と連携のもと、製薬会社などさまざまなところから情報を収集し、困難な時期を患者さんとともに過ごしました。HIV感染症に対する医療環境が不十分な時代で、情報も限られたものしかなかったとは言え、残念な結果となってしまったことは、今も私の心に大きな傷として残っています」と、齋藤先生は当時を振り返ります。
サイトー内科医院における血友病診療の現状
現在は、1人の血友病A患者さんが幼児の頃から続けて受診しています。
幼稚園児の頃に関節炎の症状を訴えて来院し、山形大学医学部附属病院で第Ⅷ因子活性の測定を行った結果、重症型と診断されました。これまでの多くの経験から、この患者さんをきちんと止血管理をして、関節障害などが残らないようサポートしたいと思ったそうです。
齋藤先生は、保護者と患者さん本人に、関節出血を繰り返すと将来、障害が残る可能性が高いため凝固因子製剤の定期的な補充が必要であることや、日常生活で気をつけることなどを話しました。患者さん宅も近郷だったため、最初は週に2~3回来院して輸注し、中・高校生時代にはサッカーなどスポーツにも挑戦しました。「これまでの辛い経験があったので、できる限り健康な子どもたちと変わらぬ生活を送って欲しいと思いました。血友病だからといって何も我慢することがないよう、患者さんの求めに応じて多くの情報を集め、彼にとって最もよい方法を模索してきました。幸い、当初の目的どおり気になる関節症状などはありません」。

現代の赤ひげ先生
「患者さんの治療方針は患者さん自身に任せている。私は余計なおせっかいはしません」と、意外にそっけない言葉の齋藤先生。その裏には、どんな病気も本気で戦い、付き合っていかなければいけないのは患者さん自身で、その自覚を持ってほしいとの思いがあります。そして患者さんから相談・依頼されたことは全力でサポートしたいとも思っています。
受診中の患者さんも、最近、輸注回数の減少から関節に出血を起こして連日、輸注に来院したとのこと。「自己注射や定期補充療法などについて十分な情報をお話した上で、どういった方法を選択するかはご本人が決めることだと思います。特に、血友病のような慢性病は患者さんの求めるライフスタイルに沿ったサポートが必要だと思います」。
その一方で、患者さんの人生の節目できちんと相談に乗れるよう、前もって十分な準備をはじめている齋藤先生でもあります。
庄内ヘモフィリア勉強会に期待するところ
齋藤先生が、庄内ヘモフィリア勉強会に第1回目から積極的に参加した第一の目的は、もちろん、当院を受診しておられる患者さんへ提供する必要な情報を入手するためです。さらに、過去には、血友病診療に関する情報を入手するのに非常に苦労した経験があるため、今後の医療関係者には互いに経験や情報を共有することが大切だと考え、そういった場が発展することを願っています。
「誰に聞けばよいか、何を探せばよいか分からなかった時代から比べると本当によい機会が得られました。私の患者さんに必要なさまざまな情報を共有したいと思っています。
さしあたっては、就職・結婚についてです。適齢期を迎え、いつ結婚について相談が持ちかけられてもおかしくありません。その時には正しい情報を伝えられるよう準備しておきたいと思っています。
また、製剤や治療法の進歩についても、彼が当院に通っている限り常にアンテナを張っておかなければなりません」今後も齋藤先生は患者さん一人ひとりのために活動を続けられます。