2009年11月号Volume28Number3 目次へ

鶴岡市立荘内病院

山形県鶴岡市泉町4-20  0235-26-5111 http://www.shonai-hos.jp/
小児科 副院長 伊藤末志先生
プロフィール
1975年新潟大学医学部卒業。同大小児科を経て1981年10月より荘内病院小児科に赴任。
2007年より副院長
専門は、小児腎臓内科。近年は小児保健の分野で小児の肥満、低身長の治療にも積極的に取り組む。

一人ひとりの患者さんを丁寧にサポート
伊藤先生は、当院赴任時に3人兄弟の血友病患者さんを前任医師から引き継いで以来、約30年の長きにわたり血友病診療に携わっています。
もともと血液疾患に関しては専門分野ではないという伊藤先生ですが、「庄内地方では血友病患者さんの数が少なく、血友病診療を専門としている小児科医がほとんどおりません。しかし、血友病は凝固因子製剤の定期補充療法や在宅注射療法など小児期からきちんとした管理が必要な疾患です。そのためには地元で安心して受診できる医療機関が必要だと思い、血友病診療を引き受けることにしました」と経緯を語ります。
鶴岡市立荘内病院における血友病診療の現状
現在、当院を受診中の患者さんは、成人と小児が1人ずつです。どちらも重症型と診断され、現在はともに在宅注射療法の導入によって1ヵ月に1度、定期的に受診しています。
過去には、2次医療圏である酒田市から通う患者さんもいましたが、現在は2人とも鶴岡市内在住です。

整形外科との連携
成人患者さんは、伊藤先生が当院で最初から担当していた3人兄弟のうちの一人です。
3人は全て重症型で、当時は出血時補充療法で止血管理をしていましたが、残念ながら関節障害があり、患者さんが幼い間は当院で関節血腫の関節内穿刺も行いました。その後、症状の進行に従い、当院内の整形外科と連携を取っています。また、関節症の手術は東京大学医科学研究所附属病院で行い、退院後のリハビリテーションなどその後の管理は再び当院整形外科で行うなど頻繁に連携をとっています。
小児科を卒業して内科へ
小児科であるため、患者さんも思春期を過ぎると幼い子どもとならんで待合室にいることや診察室に入ることに抵抗が出てきて、内科に転科したいと相談を受けることがあります。また、患者さん自身が言い出しにくいため、ご家族から受診するのを恥ずかしがっているとうかがうこともあります。
「気心の知れたところに通いたいとの気持ちがある一方で、大人になっても小児科へ通う居心地の悪さを感じている患者さんも少なくありません。患者さん本人や周りの雰囲気に気をくばりながら、最もよいタイミングで内科へ紹介できるよう心がけています」と伊藤先生。すでに、当院の小児科を卒業して内科へ移った患者さんが数人おられ、紹介と受け入れの経験と体制は十分です。
看護師・薬剤師の協力のもと在宅注射療法を導入
小児の患者さんは、乳児期から定期注射を始めています。3歳頃にご家族に在宅注射の導入指導を行い、現在ではほとんど失敗なく家庭で補充療法が行われています。
「以前は、うまく輸注できなかったと来院されることがありましたが、最近は一ヵ月ごとの受診になっています。定期補充療法の成果も出ているようでとても元気な姿を見せてくれるので我々スタッフも大変嬉しいですね」と伊藤先生は良好な止血管理状況に満足しています。
在宅注射療法などの導入には医師だけでなく、看護師、薬剤師が一緒になってサポートを行います。当院では、成長ホルモンの自己注射の導入時には、担当薬剤師を決めて指導しています。特に成長ホルモンの自己注射は皮下注射で比較的手技が簡単であるため薬剤師だけで行っていますが、凝固因子製剤の輸注は、手技の説明やサポートを看護師が行い、製剤の種類や量を含めた薬剤の説明などは薬剤師が指導の一翼を担っています。
庄内ヘモフィリア勉強会を立ち上げて
2005年より、当院の伊藤末志先生、日本海総合病院血液内科の齊藤宗一先生、サイトー内科医院の齋藤好正先生の3人を中心に庄内地方で年に一度「庄内ヘモフィリア勉強会」を開催しています。
「一番の目的はスタッフ、特に看護師間の連携をとり、スキルや情報の共有をしてもらうことです」とのこと。そのために講演内容の一つを看護に関するものを選ぶように工夫をしています。また、講師は宮城県立こども病院など日本全国の血友病専門病院から招聘しています。
これまでの参加者は毎年20人弱。当院からも時間の都合がつけば小児科外来看護師の全てが参加するようにしています。
また、勉強会を開催してみると、多くの患者さんが県外の施設を受診しておられるということもわかり、県外の医師とも連携がとれるようになりました。今後、少しずつ連携の輪が広がることが期待されています。



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